ハードウェアスタートアップと展示会の心得【23日目】

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この記事はShiftallのプロジェクトに関わるメンバーが日替わりでブログを更新していくアドベントカレンダー企画の23日目です。その他の記事はこちらのリンクからご覧下さい。

アドベントカレンダー2019
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伊藤です。技術のマネジメントとか会社全般のオペレーションなどを担当しています。今回は、ハードウェアスタートアップに馴染みの深そうな香港の展示会とCESをご紹介します。

香港を代表する2大展示会「Global Sources」と「HKTDC Hong Kong Electronics Fair」

この2つの展示会は中国のトレンドを調査したり、様々な取引先を探したりするのにお馴染みだと思います。2つの展示会に大きな違いはないのですが、できれば両方訪問することをおすすめします。

どちらも毎年4月と10月に4日間ずつ開催しているのですが、Global Sourcesの後半2日間とElectronics Fairの前半2日間の日程がかぶっているので、Global Sourcesの3日目から見始めて2日間ずつ合計4日間というのが効率よく見られる日程感です。

もちろん初日が一番活気があるのでベストではあるのですが。いちおうそれぞれの展示会の特徴についてもご紹介しておきます。

Global Sourcesの特徴はなんといっても香港空港から近いことです。午前中に空港に到着してそのまま直行というのがおすすめです。空港から展示会場までの電車のチケットも無料でもらえますし、会場内に荷物を預かってもらえるスペースもあります。絨毯張りなのでスーツケースを持ちながらの移動はけっこうつらいですから。

展示内容としては、こちらの方がトレンドに寄っているかなという印象です。とくに4月の展示会では、その年の1月のCESのトレンドそのままという感じでしょうか。ただ、時期的にプロトタイプも多いので、より完成度があがっているのが10月となります。

数年前はドローンやスマートウォッチなどが一気に増え、1年くらいですぐになくなるという感じです。そのあとは電動バイクが増え、一時期は会場内に試乗用のコースができているほど盛り上がっていました。それもすぐに規模が小さくなったりと、トレンドに追従している印象が強いです。中国の企業のスピード感は立ち上げだけではなく、止めてしまう判断も速いのだなと感じられます。

会場のつくりも含め、全体的にごちゃっとしている展示会なので、目的を持って何かを探すというよりは、全体的なトレンドの調査向きといったところでしょうか。

一方で、Electronics Fairの方はジャンル分けがしっかりされていて、探しているパートナーやものがあるときには効率よく見られます。ジャンルごとに階も分かれており、複数人で分担して見るのにも向いています。

テレビ、オーディオ関連、冷蔵庫やドライヤーなどの白物など、いわゆる定番の家電メーカーも多く出展しているため、ODMやOEM先を探すのにもいいですし、電子部品、電子基板、バッテリーといった部品メーカーも数多く出展しているので、部品の調達先を見つけるのにも便利です。また、ラボを持っている安規認証機関や、箱屋などちょっとニッチなメーカーもいるのでじっくり見て回ることをおすすめします。

もちろんGlobal Sourcesにも部品メーカーは多く出展しているので、どういう基準でどちらの展示会に出展するかを決めているかは一度聞いてみたいところです。

また、どちらの展示会にも共通していますが、メーカーの営業の方の記憶力がすごいってことです。初めて行った時は弊社代表と一緒だったのですが、いろんなメーカーの人から「おまえ前回も来てたよな」と声をかけられていたのが印象的で、当時、この人何回来てるんだよって思いましたが、私も2回目から声をかけられるようになり、そういうことかと納得したのを覚えています。

これらの展示会を見るときに準備しておくこととして、ぜひおすすめしたいのは、名前が記載されたバッジにメールアドレスを書いておくことです。少しでもブースの前で立ち止まると、すごい圧力で営業され、名刺をくれと言われてしまいます。ここはコンタクトしなくていいやっていうメーカーもいるので、「名刺が無くなったんだよね」と言ってバッジを写真に撮らせてあげると納得してくれるので、名刺の節約になります。

この展示会で得たものとしては、この積極的な営業というのも個人的には大きいので、詳細については後述します。

何度も行っているとVIP扱いになって、ラウンジ入場券をもらえるとかいろいろ特典もありますし、なによりトレンドと中国のスピード感を味わえるので、ぜひ毎回行くことをおすすめします。

CESは「Unveiled」と「Innovation Awards」が重要

知らない人はいないと思いますが、世界最大規模の家電の見本市です。前職も含めると、私は5年連続で出展者として参加しているのですが、実は展示会としてちゃんと見たことはほとんどないので、出展の際のノウハウや経験などをご紹介します。全体的な総括は弊社代表も参加してJETROなどがイベントをやっていますので、そちらを参考にしていただければと思います。

まずはUnveiledです。CESに出展するならセットでUnveiledには必ず出展すべきと言い切れくるくらい重要なイベントです。毎年、CES初日の2日前に開催されます。時間は17時くらいから3時間と短いのですが、とにかくメディアの数が多く、メディア露出を目的としている場合は非常に有意義なイベントです。

翌日にはCES Dailyや各種メディアなどに情報が出るので、初日から参加する人たちもUnveiledでの記事をチェックしてからお目当てのプロダクトを見に行くことが多いです。Unveiledでのメディア露出度合いによって本番での自社ブースの来場者数が決まると言えます。それだけではなく、Unveiledの結果をもとに本番での展示方法やプレゼン方法の対策もできます。どういう説明をすればわかりやすいのか、どういう単語を使うべきなのかなどなど。

お目当てのプロダクトは初日すぐに見に行くという人も多いですし、混雑を避けるため弊社が出展しているSands Expo(メイン会場ではない)から見るという人も最近は増えているため、いきなり100%のパフォーマンスを出すことが大事になります。もちろん、その日の来場者の反応を見て毎日調整していくことも必要ですが。Unveiledの出展料は決して安くはないのですし、滞在日程も長くなり大変ですが、CESに出展するならセットにしたいイベントです。

Unveiledと同じく重要なのが、Innovation Awardsです。応募時期が8-9月と少し早くて準備が大変ではあるのですが、受賞できると非常に大きなアドバンテージになります。CES本番だけでなく、Unveiledでも受賞したプロダクトは注目されますし、記事になる確率が非常に高くなります。こちらも応募には費用がかかりますが、ぜひチャレンジして欲しいです。

出展する場所についてもいろいろと特徴があります。スタートアップだと、基本はSands Expoになると思いますが、1階と2階では大きく雰囲気が違います。

1階はFrench Techを中心に、国や地域によってエリアが分かれており、各社のブースも小さく出展社数が多いのが特徴です。弊社も今年はJETROが主催するJ-Startupの中に出展しましたが、会社名やプロダクトが知られていなくても、日本のスタートアップ目当てに見にくる人にもリーチできます。また、ブースが小さいので隣のブースを目当てに来た人にそのまま声をかけるなんてことも可能です。

一方で2階はカテゴリごとにわかれており、大手メーカーも出展しています。2階は天井も高いため、大きいブースも多く、中には20コマ(1コマが10sqm x 10sqm)以上という巨大ブースもあります。LVCCとSands Expo1階の中間くらいでしょうか。

こちらに展示すると各国のメーカーのブースに混ざることになるので、よりグローバル感を出すことができますし、ブースを広くとり出展社数が1階よりも少ないので、来場者が1ブースに費やす時間が長くなるのが特徴です。来場者と長時間話す機会も増えるため、商談やビジネスに直接つながる可能性も高くなると感じています。

1階は全体的なトレンドを見に来ている人にリーチでき、2階では商談できるチャンスが増えるといったところでしょうか。最初にブースを確保する時はコマ数や場所など、あまり選択の余地がないのですが、毎年出展していると先行してブースを確保できるようになるので、継続して出展できればベストです。

海外展示会の出展でとても重要なたった一つの心得

他にもCESの出展に関するノウハウはいろいろあるので、こちらもぜひ弊社宛にご相談くださいといったところなのですが、出展した際に大事だと個人的に思うことを一つ書いておきます。

それは「出展してブースに立ったら、積極的に話しかけて営業しましょう」ということです。中国メーカーの積極的な営業というところで上述しましたが、ブースの前を通る全ての人に声をかけるべきだと思います。

これは日本人がすごく苦手としていることではあると思いますが、英語にあまり自身がなくても積極的な姿勢で話しかければカルチャーは超えられますので、ぜひ実践していただきたいです。興味を持った人や、話しかけてきた人だけに営業している人を見かけることが多いのですが、すごくもったいないと思います。

私はいつもコーヒーを片手に「Hey!」って声をかけていますが、欧米人ばかりですので全く問題ないです。変にかしこまりすぎず、カジュアルに接する方が営業しやすいですし、声をかけられた人も足を止めてくれることが多いです。CESは4日間と長いようで意外と短いので、できるだけ多くの人に営業して、会社やプロダクトを知ってもらうことが一番大事かなと思います。

今回は香港での展示会とCESについて、訪問と出展という2つの観点から書いてみましたが、これから展示会に行ってみたいという方々や、展示会への出展を考えている方々の参考になればと思います。どちらも継続することで得られるものがどんどん大きくなっていくと思いますので、みなさんもぜひチャレンジしてみてください。

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