社員ID005のカイです。
4月に動き始めたばかりのShiftallですが、社内では徐々にいくつかのプロジェクトが動き出しはじめました。また、オフィスは工事のレベルから自前で設計していたり、社内ツールを自作で開発したりと、外からは見えないながらいくつものプロダクトが作られつつあります。
ハードウェアの性質上、製品を一般公開するまでには時間がかかってしまうものですが、全貌をお見せできないまでも開発の途中を紹介したり、社内での取り組みといった情報を発信する場として、このブログを運用することにいたしました。そのあたりの詳細は代表が書きましたこちらをご覧下さい。
Shiftallメンバーが送る、ちょっとした情報発信メディア「Shiftall blog」はじまります | Shiftall blog
https://blog.shiftall.net/ja/archives/73/
今回は社内コミュニケーションに欠かせない大事なツールであるチャットサービスについて、Shiftallが導入したサービスをご紹介します。
「返信」が便利なチャットワーク
「スタートアップにとって大事なものは何よりもスピード」とは弊社代表の岩佐が好んで使うフレーズではありますが、そのスピードを実現するためになくてはならないのがチャットサービス。Shiftallのメンバーがこれまで愛用してきたのは、ChatWork株式会社のチャットサービス「チャットワーク」です。
チャットワーク(ChatWork) | ビジネスが加速するクラウド会議室
https://go.chatwork.com/
これまで長きにわたってチャットワークを利用してきた最大の理由は返信機能にあります。チャットワークでは特定のメッセージに対して返信することでメッセージを投稿したユーザーへ通知できるだけでなく、返信を続けることで投稿の流れを確認することができるようになっています。
チャットの場合、同じ話題を全員がやりとりしている時はいいものの、1つのチャットで複数の話題が入り乱れると、誰が誰の発言にコメントしているのかがとてもわかりにくくなるのですが、返信機能があると簡単に流れを追うことができます。
また、これは他のチャットサービス使ってから気がついたことですが、グループチャット一覧が更新順に表示されるので、どの話題が新しいのかを一目で確認できるのも地味に便利な仕様でした。未読のグループチャットが乱立したとき、間違ってタッチして未読を既読にしてしまった場合でも、新着順に並んでいればある程度あたりをつけて見にいくことができます。
新体制を機にチャットサービスを見直し
と、返信機能を理由にかれこれ数年以上使い続けてきたチャットワークでしたが、長年使っていると細かいながらも使いにくい点が出始めました。
まず、ユーザーをIDで指定できないこと。後述するSlackやFacebookなどのチャットサービスでは、メッセージの文中に「@」からユーザーIDを入力することでユーザー指定が可能ですが、チャットワークの場合はユーザー一覧から選ぶ方式になっています。PCの場合はまだ設定した名前で検索できるのですが、スマートフォンでは名前検索すらできないので、100人近いチャットで相手を探す時は絶望を覚えます。
検索についても直近200件までしか対象にならないため、過去のキーワードにたどり着くのが非常に困難です。また、検索キーワードは「ライトニング」と「ライトニングケーブル」がまったく違う検索として扱われるため、「ライトニングケーブル買います」「だれかライトニング持ってたら貸して」というフレーズを「ライトニング」でまとめて確認することができません。検索の弱さに関してはチャットワークの中でも大きな課題の1つと言えるでしょう。
そしてチャットサービスの移行を考えた際に最大の壁として立ちはだかったのが、解約時の動作です。チャットワークの場合、解約したアカウントが今までにアップロードしたファイルはすべて削除される仕様になっています。
自動削除となります。(削除処理は完了までに若干の時差が発生する場合があります。)
組織契約のユーザーを削除するとどうなりますか? – サポート | チャットワーク(ChatWork)
https://help.chatwork.com/hc/ja/articles/203126374-%E7%B5%84%E7%B9%94%E5%A5%91%E7%B4%84%E3%81%AE%E3%83%A6%E3%83%BC%E3%82%B6%E3%83%BC%E3%82%92%E5%89%8A%E9%99%A4%E3%81%99%E3%82%8B%E3%81%A8%E3%81%A9%E3%81%86%E3%81%AA%E3%82%8A%E3%81%BE%E3%81%99%E3%81%8B-
ファイルを残したい場合はアカウントを残したままパスワードだけを変えてその間にファイルをダウンロードせよ、と指示されていますが、ファイルのダウンロードツールは公式で提供されていないため、自力でダウンロードしなければいけません(非公式ではこういうツールが提供されています)。また、過去ファイルについても検索が最大200件のため、長年使っているアカウントでアップロードしたファイルをすべてダウンロードしようというのは非常に困難です。
結局のところファイルを残したければ退職者のアカウントは消さずにパスワードだけ変えて運用するのが現実的な解ですが、チャットワークはアカウント数で課金する仕組みのため、この運用では退職者が出てもアカウントを削除できず、料金だけが積み上がっていくことになってしまいます。
このような事情からチャットワークを離れて別のサービスへ移行するには相当な本腰を入れなければならず、「もうそろそろ他のサービスを使いたいねえ」と言いながらも現状維持、という時間が長らく続いていたのですが、今回は新たに組織を発足するというタイミングでチャットもゼロスタートにできるチャンスであり、これはいい機会とチャットワーク以外のチャットサービスを検討することにしました。
サービス連携の充実が魅力的なSlack
チャットワーク以外のチャットサービス、と言われて真っ先に名前が挙がるのはおそらくSlackでしょう。
人々の働き方を変える、次世代のビジネスコラボレーションツール | Slack
https://slack.com/intl/ja-jp
他サービスとの連携が充実しており、日本語対応やテレビCMの放映など積極的な展開が始まったことで利用者も急増しているようですが、残念ながら自社判定による消去法での評価計算ではチャットワークを超えることはありませんでした。
一番のポイントはチャットワークで述べた返信に相当する機能がないことです。Slackでは、@から相手のIDを指定できるのが手軽ではあるものの、特定のメッセージへ返信する機能がないため、1つのチャットで複数の話題が同時に展開されるとわけがわからなくなります。「OKです」というメッセージがあったとして、それはどの話題にOKなの? というのをいちいちコメントしないと文意が通じません。
返信に似た機能として「スレッド」という機能がSlackには用意されているのですが、これがさらにややこしい存在です。スレッドはメッセージに対してツリー状にぶら下がる親子関係のようなコメント機能なのですが、標準設定ではスレッドで投稿した場合、内容は折りたたまれてしまって見ることができないため、せっかく返信してくれても読み飛ばしてしまう可能性が非常に高いUIになっています。
スレッドの場合、同じ内容をチャットにも投稿する機能をオンにすることでスレッドの内容をチャットにも表示できるのですが、スレッドは最新の1件しか表示されないため、会話の流れが細切れになります。
さらにはスレッドは親メッセージに対してしかつけられず、スレッド内で投稿された子メッセージにスレッドをつけることはできません。結果としてスレッドが長く伸びた場合、そのスレッド内の会話では結局返信ができないのとほぼ同じことになってしまい、チャットワークを使っていた頃に比べて会話が行き違いやすいという事件が多発していました。
Googleドキュメント連携やボット連携など魅力的な機能も多数あるSlackですが、チャットサービスの本質であるコミュニケーションの面においては、返信で内容をつなげることができ、すべての投稿が同等に表示されるチャットワークのほうがつかいやすいという結論に至り、乗り換え対象のサービスとして積極的に選ぶ理由にはなり得ませんでした。
Shiftallが本当に欲しかったもの
ここまでチャットワークとSlackを比較した上で、我々にとってチャットサービスに何を求めているのか、を一旦まとめてみました。他にも細かな要望はありますが、サービスを移行するからにはできるだけこの要件を満たしておきたい、というリストです。
- 返信機能がある(発言元をたどることができる)
- すべてのメッセージは同等に表示される(not スレッド)
- ユーザーを簡単に指定できる(@IDなどの形式)
- 検索結果に制限がない(200件はもってのほか)
- 検索結果がぶれない(ライトニングもライトニングケーブルも「ライトニング」で検索したい)
- 退会時の処理(ファイル保持またはエクスポートの仕組み)
最後にたどり着いたチャットサービス「Typetalk」
長い前置きを踏まえてようやく本題に入りますが、上記の要件を満たすチャットサービスを探す中でたどり着いたのが、プロジェクト管理サービス「Backlog」やオンライン作図ツール「Cacoo」といったサービスを運営するヌーラボの「Typetalk」です。
ビジネスディスカッションツール | Typetalk(タイプトーク)
https://www.typetalk.com/
サービスのUIはチャットワークに似ていますが、先日行なわれたリニューアルによって、異なる組織とのチャットは画面を切り替える方式に変更されており、機能としてはSlackに近い仕組みになっています。
返信機能がある
もっとも重要視しているといっても過言ではない返信機能。返信したメッセージをクリックして入力すると元のメッセージとつながり、「…」ボタンから「返信」を選ぶと返信元のIDが自動入力され、相手へも通知されます。返信したメッセージはアイコンの上に棒が表示され、クリックすると元の発言をたどることができます。
すべての発言は同等に表示される
前述の通りUIはチャットワークライクで、すべての発言が同等に表示されます。
ユーザーを簡単に指定できる
SlackやFacebook同様、@IDで指定できます
検索結果は無制限
もちろん無制限、無料プランでも10,000件(200件の50倍)まで検索できます。
豊富なプラン | Typetalk(タイプトーク)
https://www.typetalk.com/ja/pricing/
検索結果がぶれない
「ライトニング」も「ライトニングケーブル」も「ライトニング」で検索できました。
退会時の処理
Typetalkの場合アップロードしたファイルはユーザーではなく組織に紐付くため、アカウントを退会処理してもファイルは削除されません。また、退会したアカウントの発言はそのままの名前で残り、再度同じチャットに入ってくると同じユーザーとして継続できます。
以上、チャットワークとSlackの両方を使った上でこれは欲しい、と思った機能をTypetalkが一通り備えていそうだということがわかったのですが、その他にもTypetalkで便利だと感じた機能をいくつか挙げておきます。
いいね
気に入ったメッセージにハートマークをつけられます。いいねはつけたメッセージ、つけてもらったメッセージともに後から一覧で確認できます。Slackのほうがカスタム絵文字などを使えて表現力は上ですが、一覧で見返せるという点ではTypetalkのほうが機能としてみると使いやすいです。
まとめ
Twitterのハッシュタグに近い機能で、1つのトピック内の投稿を特定のキーワードでまとめて一覧表示することができます。
ボット
APIが公開されており、ボットを自作することができます。すでに弊社内では「出退勤管理ボット」「ごみ捨て当番ボット」「決裁ボット」など多数のボットが社員の手で開発され、大活躍中です。
Typetalkのここがもうひといきなところ
以上、あくまで弊社の観点であり、消去法での選択ではありますが、我々が必要な機能を一通り備えており、一定のテスト期間を経てこれはいけそうだ、という手応えから、ShiftallではチャットツールとしてTypetalkを採用することになりました。
もちろんすべてが満足しているわけではなく物足りないところもいくつかあります。アップロードファイルについては50ユーザーで50GB、200ユーザーで200GBと上限が決められており、データのやり取りが多い弊社では若干物足りない容量です。
この点についてはデータをそもそもチャットに置かず自社ストレージで管理しましょう、という方針でひとまず運用していますが、今後ファイル容量が上限に達してしまった場合に備えて追加容量のオプションや、Google ドライブなどのクラウドストレージとの連携なども期待したいところです。
また、スマートフォン対応についてはかなり荒削りという印象で、動作は軽くていいのですがPCでできることのいくつかがスマートフォンアプリからは利用できません。返信はできるが返信と同時のID指定は自分で入力する必要があったり、同じトピック(グループ)に参加しているメンバーを一覧表示できなかったりといくつか課題がある中で、最も大きいのはスマートフォンアプリからメッセージを検索できないことです。
【追記】Typetalk公式Twitterより、スマートフォンアプリからは右下の虫眼鏡マークでメッセージを検索できるとのご指摘をいただきました。ご指摘に感謝するとともにお詫びして該当箇所を訂正いたします。
#Typetalk をご利用いただきありがとうございます☺️スマートフォンアプリからの投稿検索について、iOS/Android 双方で可能です👍右下の虫眼鏡マーク→上部に表示される「検索」の右にあるアイコンをタップいただくと、トピックだけでなく投稿やDMも検索ができます。分かりづらくて失礼いたしました😿 pic.twitter.com/C60zA8WjLl
— typetalkin_jp (@typetalkin_jp) 2018年5月18日
この点についてはアプリではできないけれどスマートフォンからブラウザでアクセスするとできるため、今後アプリの対応で十分に改善されるのではないかと期待しておりますが、検索はかなり利用頻度が高いため、早めの対応をお願いしたいところです。
ちなみにPCでも検索対象は今見ているトピックがデフォルトになっているため、ここも「すべてのトピック」がデフォルトになるとなお使いやすいかなと思います。
その他、個人的な機能の要望もせっかくの機会なので挙げておきます。
ブックマーク機能
同等の機能は「いいね」でも代用できるといえばできるのですが、いいねはどちらかというとコメントするほどではないリアクションや「読んだよ!」というアピールに使うため、あまり重要ではない投稿にもいいねをつけがちです。また、まとめ機能はチャットを横断できないことに加え、全ユーザーで共有するハッシュタグに近い仕様のため、1人で取っておきたい情報の保存には向きません。
「後で役立つのでこれは保存しておきたい!」という投稿のために、すべてのトピックを横断して投稿をブックマークできる機能があると、Typetalkの情報管理がますますはかどりそうです。
投稿の引用
テキストの装飾としての引用機能はあるのですが、チャットワークにあった「以前の投稿を引用する」という機能はTypetalkにはありません。これ結構便利な機能で、「以前の発言について一言コメントする」と言うときに重宝していたので、これも実装を期待したい機能です。
ちなみにこれも引用したい投稿にコメントし、元の発言を全部コピーして入力欄に貼り付けた上でテキストをドラッグで選択、メニューから「引用」を選択することでかなり近いことはできるのですが、かなり手数がかかってしまうのでこれが1クリックでできたりすると幸せです。
URLからのトピック参加
チャットワークはグループチャットのURLを発行し、ここにアクセスした人をチャットメンバーに登録できる招待機能が用意されています。
グループチャットに招待する(招待リンクを作成する) – サポート | チャットワーク(ChatWork)
https://help.chatwork.com/hc/ja/articles/203354290
これが社内コミュニケーションにはけっこう便利で、参加必須ではないような趣味や雑談に近いグループチャット、興味があれば参加してもいいよ、という緩い運用のグループチャットなどでは招待URLだけを送っておき、希望者だけ参加する、という運用を実現していました。
TypeTalkも同様にトピックのURLは発行できるのですが、招待を受けた人のみがアクセスできる仕組みなので、希望者が任意に参加できる仕組みがあると社内のコミュニケーションがますます捗ります。
通知された投稿の強調
チャットワークでは自分のIDが指定されたメッセージについては背景色が変わって強調され、自分宛ての話題を後から振り返るのに便利でした。
Typetalkの場合通知機能はあるのですが、トピックの中で他と同じ色なので見分けにくく、ID指定されたメッセージについては色が変わると読み飛ばしが少なくなって便利だなと思います。
まとめ
以上、Shiftallにおけるチャットサービス導入までの流れをまとめてみました。TypetalkやSlack以外にもいくつかチャットサービスは検討しましたが(Yammer、Office 365など)、それぞれのサービスにメリットデメリットがあり、それらを総合した上でShiftallにとっては最終的にポイントが高かったのがTypetalkでした。
もちろんこれはあくまで弊社の話であって、使い方次第では他のチャットサービスの方が相性がいい、という会社もあるでしょう。これはあくまでShiftallのお話ということをお断りしておきつつ、少なくともチャットワーク、Slackに次ぐ第三の選択肢としてTypetalkは候補に入れてもいいのかな、と思います。